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魅惑~甘く溺れる心と身体。
第20章 愛される資格。

「――むしろ?」


 あたしが聞き返すと、唯斗さんは言葉に詰まったようだ。
 う~んと呻った。
 何か言いにくいことがあるのだろうか。
 唯斗さんを見上げるあたし。

「もし、唯斗さんとの仲を認めてもらえなかったら? あたし、そんなの悲しい……」
「そうだね、認めてもらえるまで説得するよ」
「でもっ!」

 反対されている間、唯斗さんがあたしに対して関心がなくなったら?

 お母さんみたいに、唯斗さんもあたしを好きじゃなくなる可能性だってある。


『ワガママな小娘だな』
『だから母親にも捨てられたんだろう?』
 唯斗さんに振られたと思ったあの日の夜、おじさんに罵られた言葉が蘇る。


 でも、それは唯斗さんの気持ちを疑うようなことで、今、口にするべき言葉じゃない。


「――っつ」

「とにかく、澪ちゃんが思っているようなことは全くないんだよ、いいね?」
 唯斗さんの言っていることはまだよく判らない部分もあるけれど、あたしたちの間に起きた事実を隠すのはよくないとも思う。

 もし、あたしが唯斗さんの子供を身籠もってしまえば一番最初に知るのはお父さんだから――。

 何もかもが後手に回るのはなるべく避けたいのが唯斗さんの考えだと思う。


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