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魅惑~甘く溺れる心と身体。
第20章 愛される資格。

「は……い」


 不安はたくさんあるけれど、ここで逃げても仕方がないのは事実だ。
 それに、唯斗さんがお父さんに話すっていうことは、それだけの覚悟があるっていうこと――。
 そういうふうに思っても、いいよね?
 そこまであたしとの将来を考えてくれているんだって思えば、胸が締めつけられる。
 あたしに残された道は、唯斗さんを信じるしかない。


 ……コクン。
 頷いた。

「大丈夫、大丈夫だよ」
 不安で胸が押し潰されそう。


「っふ、ぇ……」
 目頭が熱くなって涙が溢れる。
「俺がいる、ずっと一緒だ……」
 そんなあたしの頭を広い胸にそっと引き寄せて宥めてくれる。
 あたしは目を閉じて、どうかお父さんが理解してくれますようにと願うばかりだった。



《愛される資格。・完》
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