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魅惑~甘く溺れる心と身体。
第21章 告白~許しを乞うて大好きな人と一緒に。

 唯斗さんが口を開き、
「ないな」
 お父さんが話した。


「えっ? えっ?」
 さすが兄弟。
 息ぴったり。
 ふたりの回答にあたしはタジタジだ。

「俺が君に恋愛感情を抱いていることに気がついたのは澪ちゃんが中学になった吹奏楽部の送り迎えの時だった。土砂降りのあの夜、ひとり泣いていた君を見た時、恋愛感情を抱いていると確信したんだ」
 それって、あたしと一緒だったの?

「明くる日だったか、唯斗本人からお前の送り迎えをすると言い出したんだよ」
 お父さんが打ち明けた。
「そう、なの?」
 ……知らなかった。
「あたし、てっきりお父さんが唯斗さんにずっとあたしの面倒を見るよう、お願いしていたんだと思ってた……」
「きっかけはたしかに兄さんの提案だったんだけれどね、可愛い澪ちゃんが万が一にでも帰宅途中で襲われたらと思うと気が気じゃなくてね。あと、他の男連中にも牽制になるかと思った」
「けん、せい……?」
 あたし、そんなモテてないけれど……。
「必要ないよ? あたしそんなに人気ないし……」
「いや、そこはわたしが言い寄ってくる連中を阻止しまくっていたからな。担任の先生に根回ししてもらってだな。男連中が近づけるタイミングをとことん無くしてやった!」


「――あ、えっ?」
 道理で事ある毎に先生によくお手伝いをお願いされていたような……。

「大切な澪をどこの馬の骨かわからんような奴に渡してたまるか!」


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