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魅惑~甘く溺れる心と身体。
第21章 告白~許しを乞うて大好きな人と一緒に。

 恥ずかしいから止めてって言うんだけど、未だに口癖になっていて、なかなか抜けないみたい。

「もう、くすぐったいよ、お父さん」
「澪、みお姫……」
 ……スリスリ。
 頬ずりされる。
 お仕事中はすっごく険しい顔をしてカルテと睨めっこするお父さん。
 院内でもとってもクールで硬派なイメージがあって、同業者や患者さんにもとてもモテるみたいなんだけど、家にいる時はいつもこんな感じ。
 それだけ張り詰めてお仕事しているっていうことなんだと思う。
 だから余計にかな、あたしはお父さんにストレスを溜めないで欲しいって思うんだ。


「兄さん、もういいでしょう?」
 グイッ。
 後ろから手が伸びてきて、引っ張られた。

「っへ?」
 パフン。
 あたしを包み込む手が消えたかと思えば今度は唯斗さんの腕の中にダイブした。
「ゆ、ゆいとさんっ!!」
 だけど唯斗さんは別。
 抱きしめられちゃうと心臓がバクバク煩い。
 お父さんの前で抱きしめられるのに慣れていないあたしはドギマギしてしまう。
 しかも、しかも!!
 今日、お父さんがここへ来たのは唯斗さんとあたしの恋仲についての話があってのこと。
 和やかな雰囲気になれるはずもないんだ……。
 もし、唯斗さんとの仲をやっぱりダメだと反対されたら――。


 あたし、悲しくて死んて生きた心地がしないんじゃないかな、って思う。


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