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魅惑~甘く溺れる心と身体。
第21章 告白~許しを乞うて大好きな人と一緒に。

「なんだ浮かない顔だな、お父さんが帰ってくるのが嫌だったか?」
「ううん、そんなことは……」
「兄さん、澪ちゃん緊張してる」
「まだわたしが澪と唯斗の仲を引き裂くとでも思っているのか?」
「…………」
「大切な娘を悲しませるようなことはしないよ」
「本当?」
「ああ、本当だとも!」
 にっこり白い歯を見せて笑った。
 ……そうなのかな。
 本当に大丈夫なのかな。
 不安はまだあるけれど、唯斗さんが傍にいてくれているし、きっと大丈夫だよね?


「兄さん、とりあえず上がって」
 唯斗さんはお父さんをリビングへと案内して、あたしも唯斗さんに続いた。
「どう? 海外はやっぱり忙しい?」
 ローテーブルを挟み込むようにしてソファーに座るお父さんに、唯斗さんはお水が入ったコップを置いた。

「論文も読ませてもらってね、なかなか刺激があって楽しいよ」
「お父さんらしい」
 あたしの隣に唯斗さん。
 お父さんは真正面のソファーに腰掛けてそれぞれが向かい合うように座った。

「それで、俺たちの仲を認める条件っていうのは?」
 今日、お父さんが一時的に帰国したのは唯斗さんとあたしのお付き合いについて許しをもらうため。
 唯斗さんは早速本題に入った。
 ピリリと緊張感がダイニングに漂う。
 あたしは膝の上に置いていた手をぎゅっと握り締めた。
 緊張を読み取った唯斗さんが手を伸ばし、あたしの拳をそっと包み込んでくれる。


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