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魅惑~甘く溺れる心と身体。
第21章 告白~許しを乞うて大好きな人と一緒に。

 その手を見つめていると、どこかほっとするのは、やっぱり好きな人が傍にいるからだ。


「――うむ」
 一拍置いてから、お父さんはまた口を開いた。
「わたしの前でお前たちが愛し合っているところを見せてくれ」


 ――えっ?


「やっぱりそうきた……」
 あたしの隣で唯斗さんは頭を抱えた。
「お父さん……? 何を言って」
「大切な一人娘だ、大切に抱かれているのか知るのは親の役目だ!」
「そんなことない! 唯斗さんは優しいし、すごく紳士だよっ。他の親はそこに首突っ込まないよっ!!」
 お父さんってばいったい何を言い出すの?


「澪……わたしはお前が大切なんだよ……」
「だから、それとこれとは関係ないでしょ?」
 いくら親だからって普通はそこまで干渉しないはず。


「それだけでもないでしょう」
「えっ?」
 唯斗さんの言葉に、お父さんは明らかに動揺していた。
「なっ、何を言うかっ! わたしは本当に澪が心配でっ!!」
 図星? みたいだ。

「それだけじゃないって?」
 どういうこと?

「兄さん、もういいんじゃない? 全部知られるのも時間の問題だし。今がちょうど頃合いだと思うよ」
「……うむむ」
 唯斗さんのツッコミは鋭かったらしい、今度はお父さんが重たい口を開く番だった。
「実は……」
「実は?」


 いったい何を言われるんだろう。
 そして唯斗さんは何を知っているの?
 ごくっ。


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