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ご主人様の愛はこの身に注がれる
第2章 蜜月夜の始まり

私は持っていたイチョウの葉を持ち、「承知いたしました」と丁寧に頭を下げました。すると、私が持っていたイチョウの葉に興味を示されたのか、グレン様が近づいて来て。
「もうそんな季節なんだね。それはどこで?」
「窓を開けましたら、風と共に入って来たのです。すぐにお片付け致します」
「ちょっと待って」
「はい」
「それ、もらってもいいかな?」
「こちらを···ですか?」
「あぁ、ちょうどいい栞を探していてね」
「承知いたしました。どうぞ」
私は両手のひらにイチョウの葉を乗せ、グレン様に差し出しました。
グレン様の綺麗な細い指先が手のひらにコツン、と当たり、私は不意にどきりと心臓を高鳴らせました。婚約者はいましたが、没落貴族にお付き合する貴族はございません。そうそうに婚約破棄に至った私は、異性にたいしての免疫が全くございませんでした。
いささか、顔が熱い気も致しますが、これは気のせいでしょう。
「ふふっ、···」
「ご主人様?」
「いや、こちらの話」
ご主人様に笑われてしまい、いささか恥ずかしいです。
「そうだった。こっちが本題」
「···はい」
「今夜、12時を過ぎた頃に熱い紅茶を入れて持って来て欲しい」
「かしこまりました、ご主人様」
何もかもが美しく上品で、優雅なご主人様。
そんな遅い時間まで起きていらっしゃったら、体を壊されるのでは、と心配になってしまいます。紅茶の他に、温かいミルクや甘いクッキーもお付け致しましょう。
そうだ、ブランケットも。
最近はいささか肌寒い時間帯も出来た事ですし。

