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ご主人様の愛はこの身に注がれる
第2章 蜜月夜の始まり


深夜、誰もが寝静まった屋敷の廊下を、月明かりが差し込む中、私はティーセットの乗ったワゴンを押してご主人様の部屋へと向かった。


部屋の前に着き、コンコンコンとノックをすれば中からご主人様の声。


「失礼致します、ご主人様」


私はご主人様の部屋のドアを開き、ワゴンを押して中にはいれば、蝋燭のオレンジ色に満たされた部屋が広がっていた。


「ありがとう。すまないね、こんな時間に」
「いえ、とんでもございません。ご主人様、少しお休みになられてはいかかでしょう?クッキーとミルクもお持ち致しました」
「ありがとう。頂くよ」


私はローテーブルに温めたカップと盛り付けたクッキーを置いていく。
書類にサインが終わったご主人様は、グッと伸びをされると書斎の椅子から立ち上がり、ローテーブルのソファへと腰掛けた。


ティーポットの取っ手と底に布を当て、私はティーカップの中に紅茶を注いだ。


「どうぞ」
「いい香りだ···」


琥珀色の紅茶が入ったカップに漂う香りに、グレン様はほっと一息つかれたご様子でした。本日の紅茶はダージリン、マスカットの香りが少しでもご主人様を癒せたら、と。


「それでは、私は休憩と執務の邪魔になりますので、これで」
「少し待ってくれないかい?」


何か粗相をしてしまったのでしょうか。
不安になりながら、声を出した。


「いかがされましたか?」
「大丈夫。君が心配している事じゃないよ。少し、膝を貸してほしいんだ」


そんな、いいのでしょうか。
ただの今は一介のメイドに、ご主人様がその用な事を···。



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