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オトナのクリスマス
第1章 オトナのクリスマス
翌日のクリスマス。

必死に定時で仕事を終え、自転車を飛ばして学童に息子の樹を迎えに行った。

帰りにスーパーでクリスマス料理の材料を買い込み、ランドセルや食材を満載にした自転車に樹をのせてあえぐように帰路についた。

アパートの一階。鉄扉を体の重みで押し開けてなだれ込むように部屋に入り、小さなダイニングテーブルに買ってきた食材を並べた。

エプロンを付けてキッチンに立ち樹の好物の唐揚げを準備する後ろで、樹は画用紙にクレヨンで大きな文字を書いている。

『SANTAさん ここがいつきとママのあやののいえです』

「樹、SANTAって上手に書けたね」

「だって僕英語教室行ってるじゃん」

「そうか。すごいね樹」

樹は最近、近所の英会話教室に通い始めた。自分の知らないところでいろいろなことを覚えている樹が頼もしく思えた。

「ママにもサンタさんが来るからね」

樹は言って、ベランダに面した掃き出しの窓に画用紙を貼りはじめた。

「あ、それ窓ガラス汚れるから貼らないで・・。それにサンタクロースはママのところには来ないよ。いい子のところにしか来ないんだから」

「ママはいい子だよ。一生懸命働いて、美味しいご飯作ってくれて。みおちゃんのママもも、樹くんのママはいいママね、って言ってた。それにサンタさん、僕がいい子に寝たら、ママにもプレゼントをあげに来るって言ってたよ。だから、うちが分かるようにこうやって貼っておかないと」

私はもう「子」じゃないんだって。と綾乃は内心で苦笑した。

「樹、いつサンタクロースと話したの?」

綾乃が尋ねると自慢げに樹は答えた。

「僕が電話したの。それでママにもプレゼントをくださいって言ったの。だからこの窓、鍵開けといてね。サンタさんが入ってこれるように、夜の間も閉めちゃだめだよ」

いつ、の質問に対しては、答えが抜け落ちている。
七歳の息子との会話では、こんなちぐはぐなやりとりはいつものことだ。

「わかった」

綾乃はため息をついた。

樹は案外しっかりしている、そう思いきや、時折こうやって意味が分からない発言をする。

綾乃を喜ばせようと口から出まかせを吐いているのか、誰かの話や本の内容など、見聞きした色々な出来事がごっちゃになるのか、それは母親の綾乃にも解析不能だ。

でも、息子が自分を喜ばせたいことは十分わかった。

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