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◯◯と私
第3章 リクと私②
「一緒に住みませんか?」

 リクにそう提案されたのは、休日に二人でピクニックをしに大きな公園へ来ていた時のことだった。
 リクは土日休み、私は基本平日にお休みをもらっているのだけど、店長にお願いして、久しぶりに土曜日にお休みをもらえた日だった。レジャーシートの上で広げたお弁当も食べ終えて、暖かな秋晴れを感じていた。余計なことを考えることもなく完全に気が緩んでいたから、びっくりしてしばらく声が出なかった。

「そんなにびっくりする?」

 リクが照れ笑いを浮かべる。

「嫌ですか……?」

 私は我に返ってすぐにブンブンと首を横に振った。

「す、す、住みたい……ですっ……!」
「……まじか、よかったぁ……」

 リクがほっとした表情をして私の手を握った。

「ふふ、朝からなんか緊張してるなって思ったら、こういうことだったんですねぇ」
「うそっ、バレてた?」
「うん」

 手を握り返しながら、そのリクのコロコロ変わる表情に笑みがこぼれる。

「……前から思ってたんだ。でも、待ち合わせをして会ったり、また次に会える日を楽しみに毎日を過ごしたり、電話したりとか、そういう時間も好きだから」
「うん。私も」
「でもさ、やっぱり我慢できない」
「ふふ……」

 リクと一緒に住めたら、もう会えない時間を不安に感じることもない。
 リクで私をいっぱいにすることができるんだ。

「……も、萌ちゃん」

 気付いたら、リクの首に腕を回していた。
 大きな公園の中に広がる草原。周りの人たちは私たちと同じように、ピクニックをしている人たちでいっぱいだった。中にはキャンプ用のテントを張ってくつろいでいる人たちもいる。

「誰も見てないでしょ?」
「で、でも」

 首筋をなぞると、リクがびくっと身体を震わせる。
 リクはいつもかっこよくて優しい。でも私は知っている。
 リクは本当はこっちのほうが好きだってこと。
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