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あなたに抱かれたい
第5章 父が連れてきた女

結婚に向けての支障がなくなると、話はとんとん拍子に進んだ。

ただ、勤務先の営業部では二人の結婚に難色を示された。
ただでさえ人手不足なのに、入社一年にも満たない久美子に辞められては非常に困るから、結婚後も仕事を続けて欲しいと留意された。

だが、当の久美子は結婚をしたら家庭に入りたいと、引き留められても首を縦に降ろうとはしない。

「じゃあ、こうしようじゃないか、せめてあと半年!半年でいいんだ。半年後には来年の新人が入社してくる。
なんとか久美子くんの後釜を配属してもらえるように人事に頼み込むから、それまでは辛抱して会社に来てくれないか」

「本当に半年だけなんですね?」

「ああ、約束するよ。
篠塚くん、君からも説得してくれないか?」

さんざん世話になっている課長からこのように頭を下げられたら、拓哉としては久美子を説得するしかない。

「どうかな久美子…課長は退職するなとは言ってはいないんだ。
僕たちを引き合わせてくれた会社に恩義をお返しする意味でも、あと半年働いてくれないか?」

「本当ね?半年だけ我慢すればいいのね?
私、早く家庭に入って、あなたや茉優ちゃんと正哉くんのお世話をしたいのよ」

専業主婦として拓哉と子供たちの世話をしたいと思っていた久美子だったが、今後もこの会社で勤務する拓哉の顔をたてて、久美子は仕方なくあと半年は共働きをすることを了承した。

「本当に申し訳ないね」

課長と部長に挨拶を済ませた二人は休憩室で缶コーヒーを飲みながら申し訳なさそうに拓哉は謝った。

「いいのよ、あなたの立場ってものもあるだろうし…
その代わり…フォトウェディングはグレードアップしてドレスはオーダーメイドにしてね」

「ああ、もちろんさ!でも、本当に結婚披露宴はしなくていいのかい?久美子のご両親も結婚式と披露宴を楽しみにしているだろうに」

「いいの、私、あんまりそういうのに興味がないし…」

「本当かい?もしかして僕が二度目だからって気を使っているんじゃ…」

「やだぁ~、そんなこと気にしないでよ
結婚式なんて見栄だけじゃない。そんなことにお金を使うのなら新婚旅行を豪勢にする方がよっぽどいいわ」

ね、私ね、パリに行ってみたいのよと、いつの間にか集めたのか、バッグから旅行のパンフレットを拓哉に見せつけた。
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