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あなたに抱かれたい
第5章 父が連れてきた女

「今日、五十嵐さんをウチに招待したのは…
その…彼女と…結婚しようかと考えているからなんだ」

ものすごく話しづらそうに父の拓哉はそう言ってお酒に酔っ払った時のように赤面した。

「えっ?そうなの?五十嵐さん、僕たちのお母さんになってくれるの?」

亡くなった母の晴海に雰囲気が似ている久美子が自分の母親になってくれることを正弥は素直に喜んだ。
しかし、姉の茉優は、どう見ても不釣り合いな二人を祝福することは出来ないし、どうして彼女のような美人が父に惚れたのか納得がいかなかった。

「どうだろう…久美子さんとの結婚を祝してくれるかい?」

父の拓哉の言葉には異論はないだろう?という響きが込められていた。

「もちろんさ!僕は大歓迎だよ!」

まだまだ母親という存在に甘えたい正弥は諸手を上げて祝福した。
だが、茉優は納得がいかない。

「どうして五十嵐さんは父を選んだの?
父のどこに惚れたの?
父は…娘の私から言うのも変ですけど…そんじょそこらのオヤジと変わりませんよ?」

「そう言われると思ったわ。
私だって拓哉さんの第一印象はオジサンでしたもの…
でもね、茉優さん。お父さんはね私から見て、とても素敵な男性なの。多分、家族として、ずっと一緒に居るからその素敵な部分があなたには見えていないんだわ」

そう!子供にはわからない大人の男の魅力があるっていいたいわけね?
どうせ、パパが大手企業の係長で、一般の会社員よりもサラリーが多いことに目をつけたんでしょ?
つまりはお金目当ての結婚なんでしよ?
パパもパパよ!つい先日にママの法要をした時に涙を流していたのはどこの誰よ!
そんなにもあっさりとママを忘れてこの女に惚れてしまったわけ?

「わかったわ、お二人の結婚を許して上げる
でも、これだけは約束して。私の領域にだけは踏み込んでこないで!つまり、私の部屋には入ってこないと約束して!」

「ええ、お年頃ですもの。私にもそんな時期があったわ。
女ですもの茉優さんの言うことも理解できるわ」

良かったわ…結婚したからって母親面されるのだけは真っ平ごめんだったから、自分のテリトリーだけは死守することが出来たわ。

こうして、姉弟の許しを得て、拓哉と久美子はめでたく夫婦となることになった。
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