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防音室で先輩に襲われて…
第4章 もうその優しさに甘えないから

 ブーブーと幽かな音を立てて震えている。

 着信なんて、帰りが遅いと親からかかってくる以外めったにないから、乃ノ花は何事かと画面を覗いた。

(知らない番号…)


 ピッ


「……もしもし?」

『もしもし、乃ノ花ちゃん?』

 誰だろう

『急にごめん、今からそっちに行くけどいいかい?』

「え、この声…椎名先輩ですか?」

『そうだよ、俺、俺……、なんだかオレオレ詐欺っぽくなっちゃったね、ごめんね』

 乃ノ花にかかってきた知らない番号は椎名のものだったらしい。

「そんな…詐欺とは思わなかったですよ」

『なら良かったけど、危ないから少しは疑うことを覚えたほうがいいよ』

「はぁ…、はい、気を付けます」

『うん、気を付けてね』

「?」

『いや本題はそこじゃなかったね。今から放送室に顔を出すけどOK?』

「今から?は、はい、どうぞ」

(先輩も昨日何か忘れ物したのかな?)

 ガチャッ──

「───ぇ」

 すると、乃ノ花が通話を切ってから、わずか数秒後にドアが開いた。



 早すぎる



「断られたら、けっこうヘコむところだったよ」

 断られる気なんて1ミリも無さそうな声で中に入ってきた。


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