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防音室で先輩に襲われて…
第4章 もうその優しさに甘えないから
(どうして急にこんな怖い顔を見せるの…?)
「……」
(やっぱり怒ってるの?それともわたしをからかって遊んでいるの…?)
いつも穏やかで大人な椎名が、こんな方法でからかってくるとは思わなかった。
ポタ...
椎名のことを勝手に神格化していた乃ノ花にとって、いきなり " 男 " の一面を見せられたところで……ただ怖いだけだ。
「…ッ…え、なんで泣くの?」
「…だって…だって…先輩が怖い顔するから…!!」
「怖い顔?してないよ」
「いいえ怖いです。そんな顔で近くで話されたら、ドキドキしてしまいます…っ…わたし、もう、先輩が怖いです…!」
心臓に悪すぎる。からかっているだけならこれ以上関わらないでほしいと乃ノ花は喚い(ワメイ)た。
「ごめんなさいごめんなさい…っ…甘えてしまってごめんなさい!」
「…!」
「先輩が遊び半分だったのはわかってます…当然です!でも……気にかけてもらえるだけで……わたしは嬉しくなっちゃって……!優しい人だなぁ、素敵な人だなぁって、呑気に喜んでしまって……!」
「乃ノ花ちゃん…」
「上坂先輩が卒業してからここでひとり……本当は寂しくて、それでも思い出の場所を失くしたくないからがむしゃらに頑張ってて、でも、辛くて……」
ポタポタ ポタポタ
「辛いときに椎名先輩が話しかけてくれて……一緒に頑張ろうって言ってくれるだけで頼もしくて……それだけで、じゅうぶん贅沢だったのに……っ わたし、わたし、先輩にドキドキしてるんです……!先輩の親切心に、つけ入ろうとしてるんです……!」
彼女の小さな手が、自分の胸元をぎゅっと掴む。
「だからそんな顔で迫らないでくださいっ…お願い、からかわないでくださいっ……!!」
「……っ」
彼女は顔を歪めて泣き出した。

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