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防音室で先輩に襲われて…
第8章 イジメラレ
生徒がたむろする教室前の廊下を抜けて、彼は階段を上がった。
途中ですれ違った教師には丁寧に挨拶し、モゴモゴと声をかけてきた後輩には、にこやかに別れを告げた。
(……ハァ)
そうやって辿り着いた4階は、うって変わって人の気配が無い。理科室や美術室といった特別教室が集まるここは、放課後になるといつも静かだ。
生徒会室もこの階にある。
だが……椎名が向かったのは生徒会室ではなかった。
他とは違う黒い扉。重たいドアノブを掴んでゆっくりと下ろし、ガチャリと音が鳴ると同時に扉を押した。
ギィ.......
「……あれ、また泣いてるの?」
「……っ、せん…ぱい…」
「さっき泣きやんだばかりだったのに。俺が忘れ物を取りに教室に行ってる間……誰かに苛められちゃった?」
椎名がはいった放送室では、乱れた制服で泣きじゃくる乃ノ花が、手錠を使って椅子に拘束されていた。

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