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Mの誘惑 -封じ込めた告白-  和田みさき著
第2章 母の再婚
母は、居酒屋の仕事から、いつも午前1時ぐらいに帰って来ていたのですが、だんだん私達が朝起きる頃に帰って来るようになりました。勤めていた居酒屋の店長と夜を共にしていたのです。経済的に苦しく、頼れる人もいなかったので、心も身体も寂しかったのだと思います。今ならその時の母の気持ちが良く分かるのですが、朝帰りがどう言うことを意味してるのか、当時の私には分かりませんでした。私が9才の時に、母は居酒屋の店長だった義父と再婚しました。
 義父は、私達にも優しく、あまり大きな抵抗も無く家族になれた気がします。時々私を抱きしめて、チュッとおでこにキスをしてくれたりしていました。
 でも、姉は私とは別の感じ方をしていたようで、義父を避けているようでした。そのことについて、姉と話したことはありませんが、姉は名古屋の短大に行き、卒業してからも神戸には戻らず、そのまま名古屋の企業に就職しました。姉が家を離れてからの義父の私に対する言動で、もしかしたら姉も同じような事をされていたのではないかと思うようになりました。
 母と再婚した頃には、義父は事業を拡大し、3店舗の居酒屋を経営するようになっていました。お店には、それぞれ店長を置いて、自らがお店に出ることも少なくなり、比較的時間の余裕もあったので、家族と過ごす時間も多くありました。 
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