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第5章 外で裸にされ…

トランシーバー。イベント会社や人によっては「シーバー」「インカム」等呼び方は違うが、要は無線機だ。

　本体の裏側、もしくは本体に取り付けるカバーの裏側にクリップが付いていてそこをベルト等に引っ掛ける。本体から伸びているコードの先に小さな箱型の部分がありそこがマイクになっている。

　マイクは裏についているクリップで胸元あたりに固定し、さらにそこにイヤホンを接続し耳に装着する。本体だけでも送受信は出来るが、それだと本体のスピーカーから相手の声が出てしまうので通常はイヤホンを繋いで使うことが多い。

　マイクには小さなボタンがついていて押している間だけ声を発信出来る。基本的には誰か一人が喋っている間は他の人は喋れないが、機種によっては複数人が同時に発信することも出来る。
　そしてやはり機種によってではあるが、マイクのボタンが横にスライドするようになっているものがある。真っ直ぐ押せば押している間だけ発信、横にスライドすればそのままロックされる。つまりボタンから手を離しても発信状態を維持することが出来る。

　今回の案件で用意されたのは、そのロックが出来るタイプのものだった。そして権田は知代にトランシーバーを渡す前に細工をしていた。

『じゃあ浅山さん、行こうか』
『はい』

　権田が耳にしたイヤホンから坂巻と知代の声が聞こえてきた。

　権田は知代に通話ボタンをロックしたまま渡していた。