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サンタクロースが遅すぎる
第1章 サンタクロースが遅すぎる
12月24日の夕方
この日は、私の25歳、最後の夜が近づいていた。
新宿駅の中央改札口。忙しく行き交う人をぼんやりと見つめて、壁際に佇んでいた。
今日も仕事帰りなのだろう。スーツに洒落たコートを纏った男性。
高いヒールを履いて、黒いコートをなびかせて足早に歩く女性は、これからもしかしたらデートなのかもしれない。
カップルで歩いている人、年配の御夫婦なのかな・・・仲よさげに手を繋いで歩いている人もいる。
時計を見ると、針は7時52分を指していた。
「さすがに、もう来ないよね・・・」
付き合って10ヶ月になる彼。最近、様子がおかしかった。
スマホをやたらと気にする、私が初めて見るようなマフラーをしている。
デート中も、頻繁にラインを気にしている素振り・・・
仕事だよ、等と言っていた。
でも、分かっていた。
言葉の端々、視線の動き、体の距離・・・
私から、離れていってしまっている、心。
1週間前にクリスマスに会いたいと言ったのは、賭けのようなものだった。
自分でも、未練がましいと思う。
一応、約束してくれた時間は、午後7時。
店も、私が予約した。
背後で、大画面のデジタル最ネーションが広告を打つ。
クリスマスソングが流れ始めた。・・・これでもう、10回目くらい?
♪サンタが街にやってきて
貴女に素敵な時を運んでくれる
唇を噛んで、上を向く。
どうしても、どうしても思い浮かんでしまうのは、今頃、私の知らない誰かと一緒に、あったかい部屋で過ごしているだろう貴方の姿だった。
私は見事に、25歳の最後の日に、振られたというわけだ。
涙が、溢れそうになるのを、堪えるのが大変だった。
「でも、まあ、せっかく新宿まで来たんだし・・・」
周囲の人に悟られないように、そっと指で目尻に浮かぶ涙を拭う。ちょっと、歩こう。
だって、こんな気持ちで電車、乗れないもの・・・。
今日のために買った新品のブーツで、街を歩こう。
この日は、私の25歳、最後の夜が近づいていた。
新宿駅の中央改札口。忙しく行き交う人をぼんやりと見つめて、壁際に佇んでいた。
今日も仕事帰りなのだろう。スーツに洒落たコートを纏った男性。
高いヒールを履いて、黒いコートをなびかせて足早に歩く女性は、これからもしかしたらデートなのかもしれない。
カップルで歩いている人、年配の御夫婦なのかな・・・仲よさげに手を繋いで歩いている人もいる。
時計を見ると、針は7時52分を指していた。
「さすがに、もう来ないよね・・・」
付き合って10ヶ月になる彼。最近、様子がおかしかった。
スマホをやたらと気にする、私が初めて見るようなマフラーをしている。
デート中も、頻繁にラインを気にしている素振り・・・
仕事だよ、等と言っていた。
でも、分かっていた。
言葉の端々、視線の動き、体の距離・・・
私から、離れていってしまっている、心。
1週間前にクリスマスに会いたいと言ったのは、賭けのようなものだった。
自分でも、未練がましいと思う。
一応、約束してくれた時間は、午後7時。
店も、私が予約した。
背後で、大画面のデジタル最ネーションが広告を打つ。
クリスマスソングが流れ始めた。・・・これでもう、10回目くらい?
♪サンタが街にやってきて
貴女に素敵な時を運んでくれる
唇を噛んで、上を向く。
どうしても、どうしても思い浮かんでしまうのは、今頃、私の知らない誰かと一緒に、あったかい部屋で過ごしているだろう貴方の姿だった。
私は見事に、25歳の最後の日に、振られたというわけだ。
涙が、溢れそうになるのを、堪えるのが大変だった。
「でも、まあ、せっかく新宿まで来たんだし・・・」
周囲の人に悟られないように、そっと指で目尻に浮かぶ涙を拭う。ちょっと、歩こう。
だって、こんな気持ちで電車、乗れないもの・・・。
今日のために買った新品のブーツで、街を歩こう。

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