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サンタクロースが遅すぎる
第1章 サンタクロースが遅すぎる
☆☆☆
クリスマスの新宿はどこもかしこもキラキラしていた。
ビルのエントランスには見上げるほどのクリスマスツリー
街路樹にはイルミネーションが煌めいて
ビルの前の噴水が色とりどりの光でライトアップされていた。

見上げると、都庁までもがきれいな光を身にまとっていた。

新宿駅から地下道を抜けて中央公園に。ここまでくると、やっと人通りが少なくなる。噴水広場の冷たい石の椅子に腰を下ろすと、暗い広場の奥にきらめく噴水が見えた。どうやら、仕掛けがあって音楽に合わせて光と水が吹き出すような・・・そんな感じになっているみたい。

噴水の音楽のせいかな。不意に、頭の中に子供の頃に聞いたクリスマスソングが蘇る。

♪慌てん坊のサンタクロース
 クリスマス前にやってきた

口ずさむ。

そうね、私のサンタさんは、結局来なかったけれどもね。
そんな、皮肉。

ぼんやりしていると、ふたりで寄り添うようにやってきたカップルが、噴水の前に腰を下ろした。身を寄せ合うようにして座っている後ろ姿を見て、一段と寒さを強く感じてしまった。

「寒いや・・・やっぱり帰ろう」

誰にともなく。立ち上がりかけた時、ブルリとバックの中のスマホが震えたのを感じる。

もしかして、と、まだ思ってしまう自分が嫌い。
見ると、そこにあるのは10年来の友達の英子の名だった。

「佐知?・・・あんた!」

開口一番がそれ。話を聞くと、英子が私の元『彼』と知らない女が街を歩いているのを見た、と言うのだ。それで心配してかけてくれたというわけ。

英子はすっごくおせっかいだけど、いい子だ。彼とのことを相談していたこともあってのそれだ。ピンときて、いても立ってもいられなくて電話してきたーなんて言っていた。

「へへ・・・振られちゃった」

精一杯、無理をした明るい声。そんなことしても、声でばれるっつーの。
案の定、ほら、英子が心配そうにする。

「今どこよ!?」

しつこく、しつこく言われて、居場所を白状してしまう。『40分、いや、30分で行かせるから!都庁の展望台にいて!!』そんな言葉を残して、ぶつりとスマホの通話は途切れた。

呆気にとられた私は、親友の好意を無にするわけには行かないと、仕方なく展望室で待つことにした。
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