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サンタクロースが遅すぎる
第1章 サンタクロースが遅すぎる
「佐知!お待たせ」

新宿駅で、私は彼と待ち合わせをしていた。彼が改札口から手を振っている。そんなに大きな声で言わなくてもいいよ・・・恥ずかしいじゃない・・・。

「ままー!!」

パパに肩車をしてもらっている紗季が、こちらも大きな声で私に向かって叫んでいた。しかも両手をブンブンと振ってアピールまでしてくる。

もう・・・ぅ!

「さ・・・予約したレストランに行こうか。」

紗季を肩から下ろす。彼女はいつものように、右手を私、左手を智樹に繋いでいた。

今日はクリスマス・イブ

私は仕事先から、彼は休みを取ってくれて家から紗季を連れて、それぞれここ、新宿駅の中央改札で待ち合わせをしたというわけだ。

やっと紗季も外食ができる年になったので、彼がホテルのクリスマスディナーを予約してくれたのだった。

都庁方面に向かって歩き始めた時、ふと私の目に止まった人がいた。

壁際に立って、白いふわふわのコートを着て。
ハンドバッグを前に少しうつむき加減にしている女の子。
多分、22〜3歳くらい。
目が赤くって、白い服も相まって、うさぎのようで。

思わず、私は立ち止まってしまう。
「どうしたんだ?」

そんな私に智樹が声をかけてきた。突然立ち止まった私をみて、心配してくれているみたい。

「うううん・・・なんでもない」
「まま?」

紗季も心配している。

なんだか、数年前の自分を見ているようで・・・気になってしまったのだ。
あの子も、サンタに待ちぼうけを食わされてしまっているのだろうか?

「大丈夫・・・行こう」
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