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助教 沙霧
第10章 秘密のいとなみ ~研究室~
 沙霧は震える手で、デスクの下、タイトなウールスカートの裾をゆっくりと手繰り寄せた。昼間、あれほどストイックに振る舞い、後輩たちに峻厳な指導を行っていた「瀬川沙霧」が、今は他人の目というスリルに晒され、膝を、大腿を、付け根まで脚を晒し、微かな冷気と激しい羞恥に全身を震わせている。

 「証」を見せる

 誉はここにいない。だが、このネットワークの向こう側で、彼はすべてを見通している。自分が今、どのような顔をし、どのような姿勢で、聖なる研究室を汚そうとしているのかを。

 沙霧はデスクの上に肘をつき、顔を覆った。
 指先が、短い髪を掻き乱す。
 ブラウスの第2ボタンまでを外し、そこへ手を滑り込ませた。昼間の締め付けから解放された乳房が、冷たい空気と、自分自身の指の熱に敏感に反応する。

(っ……あ……)

 漏れそうになる声を、沙霧は唇を噛んで押し殺した。

 (もし今、誰かがこのドアを開けたら)
 (もし今、警備員がライトを照らしたら)

 その恐怖が、皮肉にも沙霧の「被虐」の快楽を極限まで押し上げる。知性の象徴であるこの場所で、無様に腰を振る一人の女。それは、沙霧が最も忌み嫌い、そして心の底で最も渇望していた姿だった。

 彼女は片手でスマートフォンのカメラを起動した。

 誉への「証」

 画面に映るのは、乱れた髪の間から覗く、情欲に潤んだ自分の瞳。そして、はだけた胸元。
 沙霧は、自身の指が湿り気を帯びていくのを感じながら、シャッターボタンをタップした。

カシャリ

小さな電子音が、静寂な室内に不気味に響く。それは、彼女の理性が完全に崩壊した音でもあった。脳裏には、式子内親王の歌が浮かんでいた。
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