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助教 沙霧
第12章 共犯の夜明け
 魂を削り出すような「告白」を送信してから、三日が経過した。

 沙霧の日常は、表面上は何一つ変わっていないように見えた。冬の凍てつく空気の中、彼女はいつものように短い黒髪を整え、スキのないスーツに身を包み、大学の正門を潜る。講義に出席し、図書館の薄暗い書架の間で古写本と対峙し、後輩たちの質問に淡々と答える。
 だが、その仮面の下にある精神は、すでに修復不可能なほどに変容している。

 誉からの返信は、告白の翌朝に届いていた。

『沙霧。貴女の真実、しかと受け取りました。もはや言葉を重ねる必要はありません。今日から、貴女のすべての時間は、私のための「修行」となります。貴女が守り続けてきたその高潔な日常の中に、私という存在を、片時も忘れぬよう刻みなさい。まずは、その美しい肉体に、私との「契約」を象徴する制約を課すことにしましょう』

 具体的な「制約」の内容。それは、あまりにも単純で、それゆえに酷薄なものだった。

『沙霧、朝起きたら、あなたのうなじに自分の爪を立て、私を想いながらくいこませて傷を付けなさい。その傷が、私と沙霧をつなぐ「印」です。
 今日一日、学内にいる間、誰と話し、何をしていようとも、貴女の指先は常に、私への隷属を思い出すための場所――貴女のうなじにある、私だけの印――に触れていなさい。誰にも悟られぬよう、しかし、貴女自身が片時も「女」であることを忘れぬように』


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