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助教 沙霧
第15章 禁忌の果実
玄関の冷たいタイルに額を押し当てたまま、沙霧は暗闇の中で呼吸を数えていた。
外から聞こえる遠い車の走行音も、隣室の微かな生活音も、今の彼女にとっては異世界の出来事のように遠い。ただ、ポケットの中で微熱を帯びたスマートフォンだけが、彼女の唯一の生命線だった。
短いバイブレーション。沙霧は弾かれたように上体を起こし、震える指で画面をスワイプした。
「人ごみの中で淫らな行為に及び、あまつさえその背徳に身体の中心部を熱くする。沙霧、それが今まであなた自身も知らなかった、いや、必死に気づかないふりをしていただけの、瀬川沙霧という女性の奥底で燻り続けていた被虐の炎なのですね。放置していても鎮まることのない、むしろふとしたきっかけで燃え盛り、あなたを苛む…」
メッセージは続く。
「バスルームへ行きなさい。明かりは点けず、身体を覆っているものをすべて脱ぎ捨てて鏡の前に立ちなさい。そして、あなたの奥底で燻る炎を、自らの手で鎮めるのです。人ごみでの行為を見ていたかもしれない、そこにいた大勢の男たちの好奇と淫靡な視線を思いながら。鏡の向こうには私がいる。自らを慰める自分だけの行為を、今夜は私に捧げなさい」
沙霧は、ふらふらと立ち上がった。
外から聞こえる遠い車の走行音も、隣室の微かな生活音も、今の彼女にとっては異世界の出来事のように遠い。ただ、ポケットの中で微熱を帯びたスマートフォンだけが、彼女の唯一の生命線だった。
短いバイブレーション。沙霧は弾かれたように上体を起こし、震える指で画面をスワイプした。
「人ごみの中で淫らな行為に及び、あまつさえその背徳に身体の中心部を熱くする。沙霧、それが今まであなた自身も知らなかった、いや、必死に気づかないふりをしていただけの、瀬川沙霧という女性の奥底で燻り続けていた被虐の炎なのですね。放置していても鎮まることのない、むしろふとしたきっかけで燃え盛り、あなたを苛む…」
メッセージは続く。
「バスルームへ行きなさい。明かりは点けず、身体を覆っているものをすべて脱ぎ捨てて鏡の前に立ちなさい。そして、あなたの奥底で燻る炎を、自らの手で鎮めるのです。人ごみでの行為を見ていたかもしれない、そこにいた大勢の男たちの好奇と淫靡な視線を思いながら。鏡の向こうには私がいる。自らを慰める自分だけの行為を、今夜は私に捧げなさい」
沙霧は、ふらふらと立ち上がった。

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