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助教 沙霧
第18章 隷属の誓い
大学からの帰り道、沙霧の意識は断片的な情景の重なりでしかなかった。
冷たい風に舞う落ち葉、駅のホームの喧騒、そして自分を呼び止めた佐藤の、戸惑いに満ちた顔。それらすべてが、厚い硝子の向こう側の出来事のように遠い。唯一、彼女を現実へと繋ぎ止めているのは、下腹部で鈍い熱を放ち続ける真鍮の重みと、網膜に焼き付いた誉からの「被支配と研究の両立義務宣告」だけだった。
自室のドアを開け、明かりも点けずに中へ滑り込む。
静寂。ここはもはや、彼女の安らぎの場ではなかった。誉という名のまだ見ぬ主が支配する、狭く、しかし広大な祭壇だった。
沙霧はカバンを床に落とすと、そのまま這うようにしてデスクに向かう。スマートフォンの画面が、暗闇の中で青白く彼女の顔を照らし出した。
『沙霧。貴女は今、自分を見失いそうになりながら、ようやくたどり着いた自室でこれを読んでいるに違いない。しかし、股間に据えた異物を取り出すこともできずにいる。誰からも、何の物理的拘束も受けていないにも関わらず。
「そんな厳しい義務を私に課すのか」と貴女は言った。そう、私から被支配と若き気鋭の研究者としての誇り。そのどちらからも貴女は逃げられない。逃げようにも、あなた自身が抱く「瀬川 沙霧」としての矜持が、逃げることを許さない。
さあ、誇り高き研究者としての魂を維持したまま、私への隷属を誓いなさい。誓いのメールが届かなければ、貴女との関りはこれでお仕舞です。二度と私から連絡することはない。
沙霧。すべては貴女自身の心次第です。』
冷たい風に舞う落ち葉、駅のホームの喧騒、そして自分を呼び止めた佐藤の、戸惑いに満ちた顔。それらすべてが、厚い硝子の向こう側の出来事のように遠い。唯一、彼女を現実へと繋ぎ止めているのは、下腹部で鈍い熱を放ち続ける真鍮の重みと、網膜に焼き付いた誉からの「被支配と研究の両立義務宣告」だけだった。
自室のドアを開け、明かりも点けずに中へ滑り込む。
静寂。ここはもはや、彼女の安らぎの場ではなかった。誉という名のまだ見ぬ主が支配する、狭く、しかし広大な祭壇だった。
沙霧はカバンを床に落とすと、そのまま這うようにしてデスクに向かう。スマートフォンの画面が、暗闇の中で青白く彼女の顔を照らし出した。
『沙霧。貴女は今、自分を見失いそうになりながら、ようやくたどり着いた自室でこれを読んでいるに違いない。しかし、股間に据えた異物を取り出すこともできずにいる。誰からも、何の物理的拘束も受けていないにも関わらず。
「そんな厳しい義務を私に課すのか」と貴女は言った。そう、私から被支配と若き気鋭の研究者としての誇り。そのどちらからも貴女は逃げられない。逃げようにも、あなた自身が抱く「瀬川 沙霧」としての矜持が、逃げることを許さない。
さあ、誇り高き研究者としての魂を維持したまま、私への隷属を誓いなさい。誓いのメールが届かなければ、貴女との関りはこれでお仕舞です。二度と私から連絡することはない。
沙霧。すべては貴女自身の心次第です。』

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