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助教 沙霧
第18章 隷属の誓い
 沙霧は、最後の仕上げとして、自らの右手の親指を強く噛み切った。滲み出した赤い血を、自らの名の横に、真っ赤な烙印のように押し付ける。

(……これで……私は…貴方のものです…)

 誓約書をスマホで撮影し、送信ボタンを押す。
 同時に、沙霧は力なく床に崩れ落ちた。
 下腹部の異物が、放心状態の沙霧の内に、熱い疼きを撒き散らし続けている。

 長い、長い沈黙……

(なぜ…返信を下さらないの……死ぬような想いでお送りしたのに…)

 眠れぬ夜。
 時間は遅々として進まない。

 深夜三時
 スマートフォンの振動

『沙霧 誓約書を確認しました。これで貴女は、心も身体も私に支配される奴隷です。
 ただし、もう一度だけチャンスをあげましょう。夜が明けるまでの間、誓いを撤回することを認めます。撤回の連絡がないまま夜が明けたなら、その時以降、私は沙霧を奴隷として扱います。一切の反抗も、拒絶も、許しません。よく考えなさい。』

(……そんな……)

 決死の覚悟で誓約したにも関わらず、朝までは撤回を認めるからもう一度考えろと。

(…主さま……恐ろしい人…なんて冷徹…そして冷酷……でも、私は……)
 
 「撤回」の選択肢は沙霧の中にはなかった。
 目からは、大粒の涙がとめどなくこぼれ続けた。

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