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メルティキス
第1章 眠ってる方が悪い、
メルティキス
この春はうららかで暖かい。そう、まるで彼女のように。
朝のランニングから戻り、風呂上がりのアレンがリビングへ戻ると、ユアはソファへ身体を横たえて小さな寝息を立てていた。
服を着替えるまでは支度したものの、そのままうつらうつらとして眠ってしまったのだろう。彼女と暮らすようになり、その性質をアレンはわかるようになっていた。
「……ユア、」
声を掛けてみるものの、返事はない。普段は柔らかく編まれた肉桂色の髪が寝起きでふわふわと広がっている。そっと掬い上げて鼻先へ寄せれば、甘やかな花の香りがした。
その匂いは脳の芯を痺れさせるようで、アレンは誘われるように彼女の下肢の間へそっと膝を付き、より深く香りを欲して距離を薙ぐ。
純粋に花の匂いだけではない。人の性をくすぐる、柄も言われぬ芳香。頭が眩むようで、ああ、と自然に零れる吐息。
肌に触れた呼気に、ユアが小さく身じろいだ。
……が、目覚める気配はない。
「起きないと、どうにかしそうなんだが、」
それは暗に起きてくれという願いと、その先の欲に流される己へ許しを乞うような呟き。
そしてもう頭の何処かではその欲求に抗えないほどに、自身の情欲が溜まり切って溢れんばかりだったことに気づいていた。眠る愛しい彼女を、どうにかしてしまいたい。健全な欲求ではあったが、朴念仁を貫いていたアレンにとってしっかりと意識するのは初めてかも知れなかった。

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