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敗者の美酒
第1章 2014年 厳冬
壊れた風景
あのコンビニを曲がれば 栗色の髪が見える
風に揺れ 目を細めて 微笑む人
何度でも 見たい その照れた笑い
体温が 移る その瞬間が 好きだった
今は 人待ち顔の 男が 2人
寒そうに 時計を見ながら 立っている
待つ人がいるのなら それは嬉しい事だろう
待つ人がいるのなら 僕ももう少し生きられるだろう
もう二度と この駅に 降り立つ事は無いだろう
冷たい色の壁が ただ僕を見つめるだけ
もう二度と この場所に 訪れることは無いだろう
ぐらぐらと 歪んでいく あの日の風景が