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敗者の美酒
第1章 2014年 厳冬
ソプラノの響き
目の覚めるような 黄色い蛇が 機械仕掛けの様に するすると動いている
笑い過ぎで 死んでしまいそうな女の顔が 視界いっぱいに映し出された
蛇は泳ぎが上手いのだ 木に登って ため息をついている
あぁ そこは あの人の席なのに・・・
カワセミが 女の周りを 神経質そうに飛び回る
喧騒の根源を 消し去ろうと 蛇が近付いていく
女は未だ笑っている 苦しそうな眉毛をして
もう息が出来ないはずだ 蛇の表情は 自慢げだ
水の中に沈んだ女は 笑顔をキープしていた
蛇が戻ろうとしたその木の上には・・・
あの人が 凛々しく佇んでいる
そして 高らかに 歌声を響かせた
幸せの森は わたくしのために
愚者の行く末は ボロ布で結構
幸せの空は わたくしのために
全ての偽りは 明日の糧の為に