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『春のにほひ』
第1章 沈丁花の咲く頃…
 2

「おいで、こっちにいらっしゃい…」
 庭先に佇むあの人の美しさに見惚れ、垣根越しに見つめていた僕に…
 あの人、千里さんはそう声を掛けてくれた。

「いつも覗いてるわよね」
「い、いや、そ、それは、の、覗くって、ち、違い…」
「うふ…覗いてるってそんないやらしい意味じゃなくてよ」
 慌てふためく僕に、優しい笑みを浮かべながらなだめてくれる。

「は、はい」
「ほら、通る度にいつもお庭を見ていくなぁ…ってね」
「い、いや、いつもいい匂い、香りがするなぁって…そ、それに梅が咲いて……」
 そう、千里さんのお宅は平屋の一軒家、そして梅の木が立ち、様々な花木も繁る小さな庭があり、それが垣根越しに眺められ…
 そこから最近、むせるような香りが通る度に芳しく香ってきていたのだ。

 そしてふと立ち止まり、庭先を覗くと、千里さんが佇んでいて…
 その美しさと艶やかさについ、見惚れてしまったのである。

「あぁ、早咲きの梅ね…」
「は、はい、その…甘い香りが……」
 そう、またその漂ってくる芳香にも、心がくすぐられてもいた。

「え、あぁ、この香りに?」
「はい…」
 その千里さんの呟きに、頷くと…

「そうこれはね、梅じゃなくて…
 この『沈丁花』の香りなのよ……」
 と、囁いてきた。

「え、沈丁花?」
「うん、ほら、このお花…」
 すると千里さんは、垣根に沿って、紅紫や、白い小さな花を咲かせている緑に繁っている生け垣状の沈丁花を指差してくる。

「ほら、甘い香りがするでしょう?」
 そう囁きながら、僕を手招きしてくる。

「あ、う、うん…」
 そして僕は手招きの導きに、香りを確認しようとその沈丁花に鼻先を近づけていくと…
「あっ」
 その沈丁花の前にしゃがんでいる千里さんの肌目細やかでしっとりと艶ゆかなうなじが、視界いっぱいに目に入り…
 ほのかな甘い香りをも感じてきたのだ。

「ほら、匂うでしょう?」
「あ、は、はい…」
 いや、僕には、その沈丁花からより、千里さんのうなじから香ってくるように感じてしまっていた…
 そして…
 なぜか、心が熱く、昂ぶってきてもいた。

「それにね…」
 すると千里さんは振り向き、僕の顔を、目を見つめてきて…
「この沈丁花の甘さは、夜になるとね…
 もっと甘く、濃くなるのよ………」
 
 そう囁く、艶やかな唇から目が離せない…



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