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スパイ少女は奴隷になる
第7章 脱走

『数日後、裏切り者である東雲美柑の身元を預かる』
「あ、あぁ……。そっ、そんな……」

 私は心臓を鷲掴みにされたような激しい恐怖に、小さく叫びながら、私は箱を玄関の壁に投げつけます。そして、すぐに頭に浮かんだのは逃げなくては殺されてしまうということです。
 しかし、逃げ出すには、問題があります。まず一つ目は寮の部屋にいる間、私には服を与えられておらず、クローゼットには鍵がかかっているので裸で逃げなければならないということ。そして二つ目は、そもそも行くところがないということです。それでも私は逃げ出しました。理性では愚かだとわかっても、本能は逃げろと、強く強く命じてきます。
 私は、すぐに寮を抜け出すと、唯一人気のない、寮の裏手の小さな山に駆け込みました。そこは、ほとんど整備されていない場所で、道路は舗装されておらず、裸足の私は走っていると、石を何度も踏んで、ボロボロになっていきます。それでも走り続けた私ですが、ついには木の枝に躓いて、足を挫いて動けなくなり、茂みの中で蹲ることしかできなくなってしまいます。それに追い打ちをかけるように雨まで降り始めて、5月のまだ冷たい雨が私の体に打ち付けます。

「うぅ、寒い……痛い……誰か助けて…… 」

 私は蚊の鳴くような小さな声で泣きながら助けを求めますが、返ってくるのは無情な雨音だけでした。そのまま、寒さ、痛み、恐怖、後悔……様々な感情に打ちひしがれたまま時間は過ぎて、雨は止み陽は沈み夜が訪れます。街灯のないこの山中には人工的な明かりは一切なく、真っ暗闇の中に身一つの状態です。暗闇で視界がない中、目元の涙の熱さだけを感じていました。

 (きっと、これは罰なんだ……、私がいけないから……、私が生まれてきたから、それがダメだから、神様は私を殺そうとしているんだ……)
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