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スパイ少女は奴隷になる
第9章 狂騒のあとに
「はぶっ!んふぅ……。んっ、んちゅ、んえっ……、じゅるぅ……」

 それは乱暴なキスでした。自らの舌を私の口内にねじ込む、蹂躙するような、濃厚なキスです。私は彼の舌を追うように自らの舌を彷徨わせます。いつもなら反射的に身を捩ってしまいそうなものですが、今回は不思議と彼の舌を受け入れてしまっていました。
 キスが終わると嶺二様は私を抱えて、湯船に浸かりました。沈黙の中、私は彼の腕の中で久しぶりの湯船の気持ちよさに浸り、お仕置きの疲れが湯に溶けていくように感じました。そして、湯船から上がると、嶺二様は私の髪や体を丁寧に拭いて、濡れた髪や首輪をドライヤーで乾かしてくれます。全てが終わり寝巻きに着替えた嶺二様に連れられて、私は裸のまま、四つん這いで首輪を引かれて部屋に戻りました。
 先程まで気づかなかったのですが、部屋は片付いていて、嶺二様はキッチンに用意された夕飯を手早く温めて皿に盛り付けていきます。リビングのテーブルには嶺二様のご飯が、床にはサラダやパン、シチューがぐちゃぐちゃに混ぜられた私の餌が置かれます。私は夕飯を取る嶺二様の足元で、犬のように這いつくばり、口だけで餌を貪ります。

「んぶっ……、はふっ、はぐっ、んぐっ、んぐっ……」
「美柑、そんなにがっついて卑しい雌犬だな」

 いつものように淡々とした口調の嶺二様に詰られた私は餌だらけの顔を赤くしながら、なぜか、不快感とは違うドキドキを感じていました。そして、私は普段通りの恥ずかしい食事が終わると、顔を拭われて檻に戻され、膝を抱えて丸くなり、目を閉じます。嶺二様がクローゼットを閉じると、隙間から差し込む光以外には全くの暗闇になります。檻の中は静かでした。毛布は暖かくて、丸まらなくてはいけない狭さも、むしろ不安を和らげてくれています。ここは安心だと、心から感じた私は、久しぶりに熟睡することができたのでした。
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