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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第30章 父の日の前夜 ~夢の余韻~(start-1m) 健治編②
妊娠11週目 昼時の健治の自宅マンション。
彩香は朝からずっとソワソワしていた。
リビングのソファに座り、膝の上で指を強く組み、
時々お腹にそっと手を当てては深呼吸を繰り返す。
妊娠11週目に入り、
つわりは少し落ち着いたものの、精神的な緊張が今は一番の不調だった。
「本当に……来ちゃうんだよね……」
「来るよ。もう着く頃だろ」
健治は落ち着いた声で紅茶を淹れながら答えた。
今日のために少しだけスーツからカジュアルなシャツに着替えている。
47歳の渋い容貌に、いつもの落ち着きはあるが、目には覚悟の色が浮かんでいた。
チャイムが鳴った。彩香がびくりと肩を震わせ、健治が玄関に向かう。
ドアを開けると、そこに白いブラウスにネイビーのパンツ姿の中山美和子(55歳)が立っていた。
看護師として長年勤め、皮膚科のリーダーを務めるだけあって、姿勢が良く、
目元に疲れと厳しさが同居した顔立ちをしている。
「お久しぶりです、美和子さん。どうぞお上がりください」
「……ええ、お邪魔します」
美和子は健治に軽く会釈をしたが、すぐにリビングの彩香の姿を捉えた。
娘の顔色がいつもより青白く、どこか怯えたような様子を見て、
彼女の表情が一瞬で曇った。
三人がソファに座った後、健治が静かに切り出した。
「今日は急にお呼び立てして申し訳ありません。
彩香から、まだ何も聞いていないと思いますが……」
健治は彩香の手をそっと握り、真正面から美和子を見据えた。
「彩香と私は、恋人同士です。そして……彩香が、俺の子を妊娠しています。
11週目になります」
一瞬の沈黙の後、美和子は目を大きく見開いた。
「……彩香?」
彩香は俯いたまま、小さく頷くことしかできなかった。
母に話せなかった恐怖と罪悪感で、声が出ない。
彩香は朝からずっとソワソワしていた。
リビングのソファに座り、膝の上で指を強く組み、
時々お腹にそっと手を当てては深呼吸を繰り返す。
妊娠11週目に入り、
つわりは少し落ち着いたものの、精神的な緊張が今は一番の不調だった。
「本当に……来ちゃうんだよね……」
「来るよ。もう着く頃だろ」
健治は落ち着いた声で紅茶を淹れながら答えた。
今日のために少しだけスーツからカジュアルなシャツに着替えている。
47歳の渋い容貌に、いつもの落ち着きはあるが、目には覚悟の色が浮かんでいた。
チャイムが鳴った。彩香がびくりと肩を震わせ、健治が玄関に向かう。
ドアを開けると、そこに白いブラウスにネイビーのパンツ姿の中山美和子(55歳)が立っていた。
看護師として長年勤め、皮膚科のリーダーを務めるだけあって、姿勢が良く、
目元に疲れと厳しさが同居した顔立ちをしている。
「お久しぶりです、美和子さん。どうぞお上がりください」
「……ええ、お邪魔します」
美和子は健治に軽く会釈をしたが、すぐにリビングの彩香の姿を捉えた。
娘の顔色がいつもより青白く、どこか怯えたような様子を見て、
彼女の表情が一瞬で曇った。
三人がソファに座った後、健治が静かに切り出した。
「今日は急にお呼び立てして申し訳ありません。
彩香から、まだ何も聞いていないと思いますが……」
健治は彩香の手をそっと握り、真正面から美和子を見据えた。
「彩香と私は、恋人同士です。そして……彩香が、俺の子を妊娠しています。
11週目になります」
一瞬の沈黙の後、美和子は目を大きく見開いた。
「……彩香?」
彩香は俯いたまま、小さく頷くことしかできなかった。
母に話せなかった恐怖と罪悪感で、声が出ない。

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