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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第30章 父の日の前夜 ~夢の余韻~(start-1m) 健治編②
妊娠32週目――彩香のお腹は今や大きく、堂々と存在を主張していた。

自宅のリビングを少し暗めにし、
柔らかな間接照明と自然光だけを活かした簡易スタジオ風の空間。
健治は自分の一眼レフカメラを手に、ソファの背もたれに軽く腰を預けながら、
シャッターを切る合間に深く息を吐いた。

(……なんて綺麗なんだ)

彩香は白いシフォンのマタニティドレスを着ていた。

胸元が緩やかに開き、肩が露わになったデザイン。
妊娠でさらに豊かになった胸の谷間が、柔らかな布地に優しく包まれている。

腰のくびれは完全に消え、代わりに丸く張り詰めた大きな腹部が誇らしげに突き出ていた。

細かった足はむっちりと厚みを増し、立っているだけで少し不安定そうに揺れる。

「健治さん……恥ずかしいよ。こんな格好で……」

彩香が頰を赤らめながら、両手でお腹をそっと抱えるようにした。

メガネを外した幼い顔立ちが、照明に照らされて輝いている。

黒髪を片側に流し、首を少し傾げてこちらを見つめてくる姿に、
健治の胸は熱く締め付けられた。

「恥ずかしいことなんか何もない。……彩香、今が一番綺麗だ」

健治の声は低く、掠れていた。

(俺みたいな男が、こんな純粋で一途な女を孕ませて
……しかもずっと一緒にいられるなんて)

過去の自分が脳裏をよぎる。あの頃は女を玩具のように扱い、傷つけて、捨ててきた。
最愛の女を泣かせ、妊娠させた香織とも結局壊れてしまった。

でも今は違う。彩香は健治のすべてを受け止めてくれた。

ファザコンで、恋愛経験もなく、純情で、照れ屋で……
それでも彼を一途に想い続けてくれた。

葵を授かり、こうして家族になろうとしている。
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