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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第34章 初めての二人の特別な父の日~秘密を打ち明けて~②
続いて、健治さんは右側の棚に近づいた。

80年代〜90年代のアイドルやアーティストの切り抜きファイル、
『安全地帯』、『中森明菜』、『チャゲ&飛鳥』、『岡田有希子』……。
その隣には横浜DeNAと日本ハムの野球資料、選手名鑑、ファンクラブ会報、
アイルトン・セナの特集冊子が並んでいる。

「懐かしいな……俺のお袋がチャゲ&飛鳥と安全地帯をよく聴いてた。
俺も中学の頃、よく流れてたな。中森明菜も先輩たちがファンで、よく話題になってたよ」

健治さんが低く懐かしそうに語ると、彩香の顔がぱっと明るくなった。

「……本当ですか? 私、母と一緒に聴いて育ったんです。すごく好きで……」

嬉しそうに話す彩香を見て、健治さんの口元も緩む。

彩香は内心で安堵しつつも、

左側の棚——
アニメ小説コーナーを隠したプラスチックシートのことを思い出して、胸がどきどきと鳴り始めた。

(……触らないで……絶対に触らないで……!)

左側の棚は白いプラスチックシートで覆われ、油性ペンで大きく書かれた文字が目立つ。

「勝手に見ちゃだめだお。°(ᐡ•̥ᴥ•̥ᐡ)°。」

彩香は必死に平静を装いながら、健治さんの袖を軽く引いた。

「……あ、あの、こっちは……特に何もないです!」

しかし、その瞬間——
健治さんが軽く棚の方に手を伸ばした拍子に、
ガムテープで止めていたプラスチックシートの一部分が、ぺらりと剥がれて落ちてきた。

「勝手に見ちゃだめだお。°(ᐡ•̥ᴥ•̥ᐡ)°。」

手書きの可愛らしい(しかし必死な)文字が、健治さんの目の前に露わになった。

彩香の顔が一瞬で真っ青から真っ赤に変わり、慌ててシートを拾おうとして転びそうになった。

「……あ……っ!」
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