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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第37章 父の日の余韻と、意地悪な愛~二人の甘い月曜日~ 午前編
<健治SIDE>
同日 11時20分 横浜市保土ヶ谷区・自室マンション

寝室の一角にある書斎コーナー。
窓から差し込む柔らかな朝の光が、木製のデスクを照らしている。

健治はリモートワーク用のノートPCを開き、
ワイシャツの袖を肘までまくった状態で資料を眺めていた。
しかし、指はキーボードの上に置きながら、時折動きを止めていた。

(……彩香の奴、今頃どうしてるんだ)

口ひげのある口元に自然と笑みが浮かぶ。

今朝、彩香の小さなキッチンで作った弁当のことが頭に浮かんだ。

オムライスにケチャップで大きくハートマークを描いたこと。
しかも、黄色い卵の上に赤いハートがくっきり浮かぶように丁寧に書いた。
横にはミニトマトとブロッコリーを添えて、彩香が好きそうな彩りにした。

(……あれを開けた時の顔が、目に浮かぶな)

健治は低くくすりと笑い、右の手でゆっくりと自分の口ひげを撫でた。
深く刻まれた皺の間にある眼差しが、優しく細められる。

(可愛かったな……)

昨夜の彩香のすべてが、脳裏に鮮やかに蘇る。

アニメの棚を必死に隠そうとしていた恥ずかしがる姿。

お風呂で震える声で「お父さん」と呼んだ瞬間。

狭いベッドで自分の胸に顔を埋めて甘えてきた温もり。

そして今朝、嬉しそうに「おはようございます」と言っていた顔——
健治の胸の奥が、熱く、穏やかに疼いた。
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