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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第37章 父の日の余韻と、意地悪な愛~二人の甘い月曜日~ 午前編
スマホを手にして企画部に戻っている途中

「……はぁ……」

深いため息が自然と漏れた。
顔の火照りがなかなか引かず、膝が少しふらついていた。

昨夜からの濃密な時間と、さっきの健治さんの意地悪な電話の余波で、
頭の中がまだぼーっとしている。

ふらつきながらゆっくりと自席に戻ると、小田さんが心配そうに声をかけてきた。

「中山さん、大丈夫ですか?なんか顔真っ赤だし、ふらふらしてますが……」

彩香は慌てて背筋を伸ばし、笑顔を無理やり作った。

「だ、大丈夫ですよ!ちょっと……急いで廊下まで行ったから、息が上がっちゃって……」

「本当に? 熱でもあるんじゃないですか?」

「ほんとです! 平気です、ありがとうございます……」

小田さんに心配され、彩香はさらに顔を赤くしながら自分の席に座り込んだ。
小田さんはまだ少し心配そうな顔をしていたが、仕事に戻ってくれた。

彩香は深く息を吐き、PCの画面に向き直った。
先ほどまでの勢いは完全に消え、
キーボードを打つ指の動きが明らかにゆっくりになっていた。

(……もう、健治さんったら……)

電話で言われた言葉が頭の中で何度も繰り返される。

『俺も昨日のこと思い出してたぞ』

『全部知れて嬉しかった』

『今日、俺の家に来てもいいんだぞ。たっぷり可愛がってやる』

特に最後の言葉を思い出すたび、彩香は小さく肩をすくめてしまう。

昨夜のキス、狭いベッドで抱きしめられた感触、
お風呂でお父さんと呼びながら快感を味わったこと……

全部が鮮明に蘇って、仕事に集中しようとするたびに頰が熱くなった。

「はぁ……」

また小さくため息をつきながら、彩香は頰杖をついて少しぼーっとした。
(集中しなきゃ……でも、健治さんの声が……低くて、優しくて……意地悪で……)

結局、午前中の残りの時間は、いつもより明らかにペースを落としながら、
甘い余韻と恥ずかしさに包まれつつ、仕事をこなしていくのだった。

13時30分の定例ミーティングまで、あと2時間ほど。

彩香の心は、仕事と恋の間でふわふわと揺れ続けていた。
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