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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第41章 逃げ切れない平日の甘い攻防~火曜~①
8時25分 横浜市 西区 神奈川支店 1階ビル出入口前

フォレスターが会社のビル前に到着した。
健治さんは一旦車を路肩に停め、彩香の方を向いた。

「ここで降りろ。俺は駐車場に回す」

「……はい」

彩香は少し名残惜しそうに健治さんの顔を見つめた。
しかし会社の1階エントランス前という人目につく場所で、二人は自然と距離を置いた。
彩香は車から降り、バッグを抱えて少し歩き、振り返る。
健治さんも車から軽く手を上げ、穏やかな表情で頷いた。

二人の間には、目に見えないけれど確かな「距離」があった。

社内ではまだ課長と部下。

誰にも気づかれないよう、朝の挨拶も控えめにする。

彩香はエントランスに入る直前、もう一度小さく振り返り、健治さんの姿を確認した。

疲れで少し足取りが重いのに、表情は明らかに幸せそうに緩んでいる。

(……昨夜の健治さん……今朝のキス……疲れてるのに、嬉しい……)

一方、健治さんは車を駐車場へ移動させながら、口ひげを指で軽く撫でた。

(……彩香の幸せそうな寝顔と、朝の顔……今日も一日、頑張れそうだ)

1階エントランス前で距離を置いた二人は、それぞれ別のタイミングでビルに入った。

外からはただの課長と部下に見える関係。

しかし二人の胸の中には、昨夜の濃密な時間と、
これからの甘い秘密が、静かに、温かく灯っていた。
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