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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第41章 逃げ切れない平日の甘い攻防~火曜~①
同日 12時35分 昼休み 13階

うつ伏せで浅い眠りについていた彩香だったが、
ふと廊下から近づいてくる足音に敏感に反応した。

重みのある、落ち着いた歩き方——

(……この足音……健治さん……?)

心臓が一瞬で跳ね上がる。

彩香は慌てて上半身を起こし、耳を澄ませた。

足音は確かに面談室の前で止まった。

トン、トン

控えめだがはっきりとしたノックの音。

彩香の顔から血の気が引いた。

昨夜から今朝にかけての甘い記憶と、午後3時の2人きり作業予定が一気に頭をよぎる。

(……見つかったら……また意地悪される……!)

慌てて周りを見回し、彩香は弁当箱とバッグを抱えたまま、机の下に身を隠した。
狭いスペースに縮こまり、膝を抱えて小さく丸くなる。
スカートの裾が少しめくれ、むっちりとした太ももが震えていた。

心の中で必死に祈る。

(……いないよ……誰もいないよ……通り過ぎて……)

しかし、ドアの取っ手がゆっくりと回される音がした。

カチャ……

ドアが静かに開く。

健治さんの低い、抑えた声が面談室に響いた。

「……彩香?ここにいるんだろ」

彩香は机の下でさらに小さく縮こまり、口を両手で押さえた。
しかし、息を潜めているのに、心臓の音が自分でもうるさく感じる。

健治さんは部屋に入り、ゆっくりと辺りを見回した後、机の方へ近づいてきた。

革靴の音が一歩ずつ近づき、机のすぐ横で止まる。
低く、意地悪くも優しい笑い声が漏れた。

「ふっ……可愛いことするな。机の下に隠れるなんて」

彩香は耳まで真っ赤になり、縮こまったまま小さく震えていた。
健治さんの声が、すぐ真上で響く。

「……出てこい、彩香。昼休みはまだ少し時間あるぞ」

健治さんは机の横にしゃがみ込み、低い声で優しく呼びかけた。

「彩香。隠れても無駄だぞ。足がはみ出てる」

彩香はびくりと肩を震わせ、慌てて自分の足を引っ込めようとしたが、もう遅かった。
健治さんの大きな手が机の下に伸び、彩香の腕を優しく、しかし確実に掴んだ。

「ほら、出てこい」

「……や……」

小さな抵抗の声も虚しく、彩香は健治さんに引きずり出されるように机の下から出てきた。

尻もちをついた体勢のまま、顔を真っ赤にしてうつむく。

健治さんはしゃがんだまま彩香の腰に腕を回し、軽く抱き寄せた。
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