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パステルカラー・オレンジ
第2章 塾の人
外の空気は新鮮で、冷たくて、気持ちよかった。

千尋は一瞬ホッとして、後ろの満員電車の扉が閉まる音を聞いて、近くのベンチにふらっと近づき、止まらない涙と、落ち着かない呼吸を整えようと試みる。
舐められた首筋を鞄から取り出したティッシュで拭うと、うわっと泣き出した。
どのくらい泣いていただろうか。


?「あの・・・・」


千尋は、ビクッと反応し、ぐずった顔を上げた。

?「やっぱり、秋山さんだ。」

身長183センチ、前髪が重く長い上に鼻の下まで髪の毛は伸びていて、黒縁メガネをかけた男が話しかけてきた。

千尋は、この人を知っていた。

ち「ぉ・・・おっさ、きくん。」

大崎レオ(おおさき れお)15才(♂)千尋は中学になって受験のために塾に通っていた。
そこで知り合ったのが大崎だ。

レ「大丈夫ですか?」

大崎は、かがんでベンチに座る千尋を見る。
前髪のせいで全く表情が読み取れないものの、大崎はズボンからティッシュを取るとさりげなく膝の上に置いた。

千尋は、ティッシュを受けとると、再び目から涙を流した。

自分が泣かせたような周りの視線に大崎はオロオロし、千尋に向かって謝っている。

ち「ごめ・・っなさい・・・・・」


レ「僕の方こそ、ごめんなさい。余計悲しませるようなことをし・・・・。」


ち「違っっの・・・・ちがうの・・怖・・った・・の・・」

頭をぽんぽんっと撫で、千尋の背中をゆっくりさすってやる。

しばらくすれば、千尋も大分落ち着き始めた。

何があったのかを聞かないのは、大崎の優しさなのだろうか。

千尋は、電車のなかでの事をゆっくり、ポツポツっと話し始めた。

ち「わたっし・・こわくって・・声・・だせなっくっ・・て・・」

レ「怖かったですよね、よく耐えたね。無事でよかった。・・・ね?」


きっと微笑んでいる大崎の顔を見て、制服をぎゅっと掴み、千尋は頷いた。

ありがとう、もう大丈夫と震える手を制服から離すと、千尋は目と鼻と頬を赤くしながら弱々しく笑う。

制服は違うけど、同じ高校に受験するため、大崎と千尋はゆっくりと試験会場に足を運んだ。

帰り道、良かったら一緒に帰りませんかと聞かれ、千尋は深々と頭を下げお願いしますと言った。
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