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たゆんたゆん
第3章 看護師
「いっ…いきなり何を……」

「安心していーぜ。もともとこの時間は人払いを頼んであるから。無視してた居眠りジーサンはもちろん、ガキにもびっくりしたが少し前にみんな出て行ったよ。菜穂ちゃん気持ちよすぎて、戸が閉まったのもわからなかったか?」

「っそんな…」

聞きたいことが言いたいことがある筈なのに、喉でつっかえてうまく言葉にできない。

「さぁて! 邪魔者もいなくなったし、やっと心置きなく呑めるな。楽しもうぜ、ママ」

「待―――あぁっ!」

せっかくの機会を失ってしまった。
言われた言葉の意味を考えていないで、新井さんの力が弱まったところですかさず離れるべきだったんだ。

「新井さっ…ふぁ…やん! だっダメ…ん、だめです…ぅンっ」

無人というのは本当なのか、遠慮がない。
新井さんの息遣いやぴちゃぴちゃと胸を舐める音が、吸い上げる音が静かな部屋中いっぱいに響く。
私の声はそれより大きく聴こえて、言葉とは裏腹に新井さんの頭をそっと撫でる。
駄目なのは、いけないのは、私の体だ。
患者さんに、しかも成人男性に体を弄ばれて、気持ちいいと思ってしまう。
新井さんにママと呼ばれる、おいしいと言われる、なんて淫らでおぞましい光景。
けど。

「ん…あぁっ。ああん…! …や…っあ!」

けど私には新井さんが――大きな赤ん坊に見えてきた。
重症。
剛毛頭を掻き抱いて、嘆息。
整髪料の香りに酔いしれ、ツンツンと肌を刺激する髪の毛がくすぐったくて。
大人しく身悶えることしか出来なかった。
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