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Dilemma
第1章 【あざとい後輩】





「成瀬先輩、成瀬先輩っ」



背後から近付いて来る後輩にノールックで
資料を預ける
勢い良く顔に当たってずっこけてる
ついでにパソコンも預けちゃお



「え?何処に?」



社内エレベーターのボタンを押して
後輩をそのまま乗せた
上の階に行くエレベーターに後輩一人
バイバイと手を振り
テンパるも手が離せなくてそのまま閉まる



「議事録よろしくー」



とだけ言い残してその場を去るのだ
「成瀬せんぱ〜い!」って声が響いてる
その足が向かうは喫煙所



「お疲れ様です」



先客が居て、軽く挨拶
煙草に火をつけた途端に追い掛けて来た後輩



「え?ウザ…」


「酷いっすよ、また一人で一服して」


「ねぇ、離れたいの、わかんない?」


「それは無理な話っすね、俺の教育係は成瀬先輩なんで」



1ヶ月前に入社してきた後輩、神倉 圭くん
今どき風なオシャレ男子
初対面でいきなり
「先輩の顔、めっちゃタイプっす」とか
言ってくる奴なの



ギャーギャー言い合ってると先客も気を遣って
出て行ってしまう
はぁー、と大きな溜め息、頭を抱える私



「で、いつご飯連れてってくれるんですか?めっちゃ待ってるんですけど」



苦手ではあるんだよ、こういう感じで
グイグイくる奴
それなのにさ、2人きりになると距離感バグって
顔近付けてくる
耳元でボソっと「怒ってても可愛い」とかさぁ……
急に真顔やめな?
隙き見せちゃうのよ
まぁ、結構長い間、シングルだしさ
一年以上?



前の恋愛がまぁまぁ辛い別れだったから
もう当分一人で良いやって思ってたの
気を遣ったり時間割いたり正直面倒臭い
また次、自分から好きになった人が現れるまでは



煙を吐いて火を消した



「私だけはやめときな?マジで」


「え?社内恋愛ダメっすか?」


「同じ土俵の男は好きにならない」


「それって寂しくないっすか?運命の相手かも知れないじゃないすか、自分から遠ざけちゃってますよ?」



どこまでもポジティブな頭を小突いてあげる








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