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Dilemma
第2章 【過去一好きだった元カレ】





「何かめっちゃ偶然だね、こんなところで会えるなんてさ」



話し方もフッと笑う表情もあの頃のまま
友達を待たせるのは悪いと思って
「行くね」と言ったら
「また連絡して良い?」って言ってきた
「番号そのままだから」と……



一方的に別れを告げたのは私の方
好き過ぎて一緒に居るのが辛くなったんだっけ
心が何度も千切れそうになって苦しかった
そんな思い出も一瞬にして蘇る



「私の番号は変わったよ、もう教えない」



やっとの想いで整理した箱の中を荒らさないでよ



「…そっか、わかった」


「元気でね」


「うん、瑞希も」



振り返り、友達の元へ足を進めた瞬間、
「待って」と再び呼び止められる



「次、もしまた会えたら教えてくれる?」



住んでるところも変わったし、
確率的に低いだろうと思って
「会えたらね」と答えた
そう言い残して友達の元へ戻った



違う、モテてるんじゃない、元カレだよ
本当、偶然
格好良かったって?そりゃ……そうね
私が一番好きだった人だし
過去は過去でも、
あの頃の想いが一瞬でも蘇ったのは事実



でももう関わらない
私だって前に進んでる
あんなに苦しかった想いは
もう二度としたくないの
今日はたまたま出会しただけ



そう思っていたのは私だけだったようで……



「え?」



新しい受注先が元カレの居る会社に決まってしまった
こんな偶然ある?
仕組まれてるような?そんなわけないか
そういや畑は違えど職種は似たようなものだった
会わない可能性もあったが
こうして巡り合ってしまう事になるとは



「また会えるって信じてた」


「仕事中はやめて、互いの立場を尊重しましょう」



ピシャリと線引きする私に襟を正してくれた



「どうも、これから長くお世話になります、株式会社◯◯の上原 耀一郎です」



丁寧に名刺交換、隣には同じ担当者の後輩女の子
良からぬ目で私たちを見てるような…
違う、そんなんじゃないからね?とわざわざ
言うのもおかしいし







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