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孤独を埋めて、満たして【短編】
第1章 孤独を埋めて




成瀬春樹という男は、この退屈な高校において、悪い意味で注目の的だった。

緩く着崩した制服、耳元で微かに揺れるピアス。そして、誰に対しても境界線を感じさせない、飄々とした、どこか人を食ったような喋り方。

〈学校一の問題児〉

──それが、教師たちが彼につける一律のラベルだった。

いくら注意されてもヘラヘラと笑って聞き流し、毎日のように違う女の子を連れ回している。


「ねえ成瀬くん、今日放課後ひま?」

「あはは、ごめん、今日は先約あるんだよねー」


教室の隅からその光景を眺めるのが、クラス委員長である私の、誰にも言えない日課だった。

周りの女子たちは、彼のあの甘く危うい雰囲気に夢中になっている。でも、私の目は、彼の〈笑顔の切れ目〉ばかりを追いかけてしまっていた。

大勢の人間の中に身を置き、ヘラヘラと笑いながら、その瞳の奥にはいつも誰も寄せ付けない、凍えるような虚無がある。



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