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孤独を埋めて、満たして【短編】
第1章 孤独を埋めて


♢ ♢ ♢



「ねえ成瀬くん、今日放課後ひま?」

「あはは、ごめん、今日は先約あるんだよねー」


適当に名前も覚えていない女の子の頭を撫でながら、俺はいつものヘラヘラとした笑顔を貼り付けていた。

ぶっちゃけ、誰でもいいんだ。

俺の隣を歩いて、俺を「必要だ」って顔で見てくれるなら、その子が誰だって構わない。

海外に赴任したきり、仕送りだけ送ってくる両親の代わりに、俺を温めてくれる存在なら、誰だって。


だけど、その薄っぺらい歪みに、いっつも冷や水をぶっかけてくる視線があった。

クラス委員長の、立花ゆり──。


いつも教室の隅で、地味で、真面目で、俺みたいな問題児とは住む世界が違うはずの女。

なのに、あいつの凪いだ水面みたいな瞳と目が合うたび、俺は自分の足元が泥沼みたいに崩れていく錯覚に陥る。

まるで「本当はすごく寂しいんだね」と、俺の心の一番醜い中身を素っ裸にされているみたいで。


あいつは俺を軽蔑して、俺はあいつを無視する。

それで良かったのに……。



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