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ほしいままに
第21章 俺は本当の君を知りたい(後藤将行)
森川澪奈は俺に気づいて、とっさに男から手を引っ込めた。
大柄なその男は、鋭さと憂いを含んだ目をしている。無精ひげに近いまばらな髭が口の周りを覆っているが、それが不潔な感じというよりも、妙な色気を感じさせる野性味を漂わせていた。
森川澪奈は俺に微笑みかけてお辞儀をすると、
「上司の、後藤支店長さん」
俺の方に手を差し出して言った。
男は、俺の目を見つめたままゆっくりと立ち上がって向かい合った。
「澪奈がお世話になっております。父親の森川です」
男は事務的に名乗り、金の名刺入れから一枚取り出して俺に差し出す。俺も名刺を差し出して形式的な名刺交換を終えた。
───森川産婦人科 院長 森川宗太郎
とある。
「このたびは娘の不注意でご迷惑を」
森川宗太郎はそう言って浅く一礼した。
胸まである髪を三つ編みにした森川澪奈は、ピンク色のネグリジェの上にクリーム色のガウンを羽織っている。特別室の大きなベッドにちょこんと座った彼女は入院患者というよりもおとぎ話に登場するプリンセスのようだ。
「支店長、私、ロッカーの上の空き封筒を取るのにキャスター付きの椅子に立って落ちたこと、お父さんに話しました。本当に不注意で、ご迷惑おかけしました」
森川澪奈は以前のような可憐な笑顔でそう言った。
えっ・・・、と首を傾げそうになった俺に向かって、一瞬、意味ありげな視線を投げた。
大柄なその男は、鋭さと憂いを含んだ目をしている。無精ひげに近いまばらな髭が口の周りを覆っているが、それが不潔な感じというよりも、妙な色気を感じさせる野性味を漂わせていた。
森川澪奈は俺に微笑みかけてお辞儀をすると、
「上司の、後藤支店長さん」
俺の方に手を差し出して言った。
男は、俺の目を見つめたままゆっくりと立ち上がって向かい合った。
「澪奈がお世話になっております。父親の森川です」
男は事務的に名乗り、金の名刺入れから一枚取り出して俺に差し出す。俺も名刺を差し出して形式的な名刺交換を終えた。
───森川産婦人科 院長 森川宗太郎
とある。
「このたびは娘の不注意でご迷惑を」
森川宗太郎はそう言って浅く一礼した。
胸まである髪を三つ編みにした森川澪奈は、ピンク色のネグリジェの上にクリーム色のガウンを羽織っている。特別室の大きなベッドにちょこんと座った彼女は入院患者というよりもおとぎ話に登場するプリンセスのようだ。
「支店長、私、ロッカーの上の空き封筒を取るのにキャスター付きの椅子に立って落ちたこと、お父さんに話しました。本当に不注意で、ご迷惑おかけしました」
森川澪奈は以前のような可憐な笑顔でそう言った。
えっ・・・、と首を傾げそうになった俺に向かって、一瞬、意味ありげな視線を投げた。

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