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ほしいままに
第26章 包容
俺は澪奈の隣に乗り込み、タクシーを出した。
「支店長、春江さんに何を言われたんですか?」
澪奈がおそるおそる、俺に尋ねた。
「心配はいらない。春江さんは、森川君がお父様に見つかることがないように協力してくれる」
「…私のこと、何か話してました?」
澪奈の声が硬い。
知られたくないであろう彼女の辛い過去を春江から聞いてしまった俺は、澪奈に何をどう話すべきか迷った。
咳払いし、重い口を開いた。
「森川君自身のことは、君本人から聞きたい。言いたくないことは言わなくていいし、言いたくなったことはいつでも、全部、俺が聞く」
「いつでも?」
澪奈は俺の顔を見上げた。目の中にきらりと明るいものが見えた気がした。
「もし君がよければだけど、俺はこうして、君のそばにいようと思う」
澪奈が真っ暗な病室から手を差し伸べて来た瞬間から、俺の中で心は固まっていた。

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