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ほしいままに
第26章 包容
「支店長・・・私、池袋支店に誘ってもらえて、嬉しかったんです。
本当は一緒に行きたかった。でも、お父さんと離れるのが恐ろしくて断ってしまった。
お父さんは行っていいと言うかもしれないけど本心では、行くなと叫ぶはずです。
私がいなくなってしまったら、お父さんはどうなってしまうかわからないと思ったんです。
でも、香宗我部君に襲われて気絶したとき、お父さんに本当の理由が言えなくて、このままではダメなんじゃないかって思ったんです。
考えてみれば、これまでずっと私は、本当に思うことをお父さんに言ってこなかった。
私、悲しくても嫌でも、誰にも言わず笑ってごまかしているんです。
本当にこれでいいんだろうか。いや、私はこんなの嫌だなって、そんな思いが、頭の中を占領し始めたんです。
私には私の想いがある。そう感じました。
そして、今の私の想いは、たったひとつだ、って気づいた。
それは・・・後藤支店長のそばにいたい、っていう想い」
胸の奥が熱くなった。こんなに切実に誰かに求められたことが、今まであっただろうか。
俺は言葉に詰まり、そのままゆっくりと澪奈の手を引いて歩き続けた。
「支店長、どこかでゆっくり眠りたい」
澪奈のその声には、長い間凍り付いていた感情が柔らかく溶けだしたような、雪解けのあとの春風のような穏やかさがあった。

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