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ほしいままに
第29章 ほしいままに✩
唇に柔らかいものが触れて、俺は目を開いた。
森川澪奈の伏せた睫毛が、俺の目に触れそうなほど近くにあった。澪奈は目を開き、ゆっくりと俺から顔を離す。
俺は仰向けの体勢のまま、金縛りにあったように身動きもできず、隣に座って見つめてくる澪奈を見つめかえし、彼女のキスの意味を考えた。
親愛のキスか、おやすみのキスか。
いずれにしてもそれは、性的なニュアンスの無い、軽い接吻だった。
俺はそのまま目をとじ、何事もなかったかのように眠りにつくふりをした。
が、心臓は胸を突き上げるほどに激しく脈打っていた。

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