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ほしいままに
第31章 半年ののち
「怖いのか?」
将行さんが唇を離して、将行さんの服の胸元をつかんでいた手を、優しく包んだ。
気づいたら、将行さんのポロシャツを、ひどいしわが付くほどに、きつく握りしめていたのだ。
「ごめんなさい。なんだか緊張して」
私が言うと、将行さんは抱きしめて頭を撫でてくれた。
「初めてってわけじゃないんだ。大丈夫だよ」
将行さんが囁く。
「でも、こういうことするの、半年ぶりだから・・・」
私が言うと将行さんは私の目を見た。
「あの夜以来、か?」
私はうなずいた。
私はこれまで、セックスの禁断症状が出ないように、毎日忙しく過ごしたきた。
寂しさや不安を感じないように、勉強してバイトして、毎晩ベッドに倒れ込んだとたんに眠りについてしまうほど、動き回って過ごした。
それでも寂しくてどうしようもない夜もあった。
そんなときには日菜子ママの店でたくさん美味しいものを食べた。
日菜子ママの家に泊まらせてもらったこともあった。
周りの支えで私はこれまで、いちども男の体を求めないで過ごすことができたのだった。
「辛くなかったか」
将行さんが不安げに言った。
私が辛い思いをするくらいなら、他の男とセックスしていたほうがまし、将行さんはそんな風に思っているのだろうか。
「辛かった。将行さんと、こうして抱き合えなかったことが」
私は言って、将行さんのシャツの匂いを深く吸い込んだ。
初めておんぶされて病院を出た、あの時の匂いがする。幸せな記憶がゆっくりと私を満たしていった。

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