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ほしいままに
第12章 私は今を失いたくない(森川澪奈)
いつかバレるかもしれない、常にそうした不安が隣り合わせにあった。
けれども、実際に支店長に秘密の営業行為を知られた私は、この場から逃げ出してしまいたいほどの恥ずかしさと激しい後悔の念で、涙が滲んだ。手には汗をかき、冷え切った指先が震える。
「顧客との不正な取引はね・・雇用契約の解除に該当するんだ」
支店長はビールを注いだグラスに手を添えたまま、まだ一口も飲んでいない。
お祝いなどと言うのは私を誘う口実でしかなかった。